受傷直後は揉んじゃダメ!肉離れとマッサージの関係

街を歩くと、あちこちで見かける接骨院やリラクゼーションサロンの看板。健康ブームや癒しブームで、マッサージは私たちの生活でとっても身近なものとなっています。そんな中で、痛めた筋肉をマッサージで治そうと考える人も決して少なくはないでしょう。

ですが、同じ筋肉の痛みでも、肉離れの痛みはマッサージで緩和することはできません。むしろ、受傷直後だとケガを悪化させる可能性が高くなります。

ここでは、肉離れとマッサージの関係について解説します。

肉離れは、“切り傷”だと理解しよう。

たとえ話になりますが、あなたはもし刃物で身体の一部が傷ついたとしたら、その傷口を揉んだり、指で強く押さえつけて治そうとするでしょうか。きっと、そんなことをする人はいないはずです。

肉離れになったときに、マッサージをしてはいけない理由は、まさにそれと同じです。

肉離れは、運動中、筋肉が急激に収縮する際に、筋繊維や筋膜が“裂傷”を起こして発症する“切り傷”に似た症状のケガといえます。

肉離れを起こした患部は、細い筋繊維や薄い筋膜が切れていて、もちろん出血もしています。ただ皮膚の内側で目に見えないというだけで、時間が経つと内出血が見られる場合もあります。もし、筋肉に「ブチッ」というような糸や布地が裂けるような音がして痛みが発生した場合は、肉離れの可能性を考えて、マッサージは絶対にしないようにしましょう。

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肉離れの治療は、マッサージよりストレッチ。

肉離れは、筋肉痛とはまったく異なるケガのため、病院や治療院などの専門家による診断を受けることが望ましいです。

痛みなどの症状がごくごく軽い軽微なものなら、自然に治る場合もありますが、ほとんどの場合が完治するまでに数日から1ヶ月かかります。

医師や整体師による診断は、どれぐらいストレッチできるかでケガの具合を把握し、また痛みが引いてからの治療も、回復の過程でより強固に修復された筋肉をゆっくりと伸ばしていくストレッチが中心となります。

専門家から許可が出るまでは、どれだけ痛みがあっても患部を動かしたり、マッサージをしたりするのは厳禁です。

肉離れの再発防止には、マッサージは効果的。

肉離れは、発症直後からある程度治るまではマッサージは禁物です。が、しかし、痛みが完全に引いてからのマッサージは、再発予防に効果的といえます。

本来、あん摩や指圧・マッサージは、国家資格が必要な専門的な技術であるため、不用意に見よう見まねで行うことはおすすめできませんが、やさしく撫でるようなマッサージならセルフで行っても問題はないでしょう。

セルフマッサージは、手の届く範囲で筋肉の繊維を流すように行うだけでも効果的。お風呂上がりだと、いっそう効果が高まります。

なお、強い圧のマッサージは、いわゆる揉み返しと呼ばれる筋肉痛と同じ症状を誘発します。あくまで、やさしくゆっくり撫でるようなイメージで行ってください。

肉離れになりにくくする、3つのセルフケア。

肉離れは、筋肉の柔軟性が低下した時に起こりやすくなります。また、筋肉は加齢とともに硬直化するため、年齢を重ねるほど肉離れのリスクは高まると言えるでしょう。

筋肉の奥には、血管やリンパ腺などもたくさんあり、筋肉の硬直化は血流や循環器系の障害を引き起こす可能性も高めてしまいます。

そこで、ケガや病気の予防にも役立ち、なおかつセルフでもできる3つのマッサージスタイルをご紹介します。

 

「ゆらす」

肉離れになりにくい筋肉の条件は、とにかく柔軟性が高いということ。筋肉に無駄な力が入っておらず、リラックスした状態を保つことが大切です。

そうした柔らかい筋肉づくりのひとつとして、筋肉をゆらしてみるのはどうでしょうか。

イスや床に座った状態で、ふくらはぎや太ももをやさしく掴み、プルプルと小刻みにゆらすだけ。自然と力が抜けて、筋肉本来の弾力性や柔軟性が感じられるはずです。

スポーツニュースなどでサッカーの選手がピッチに入る前に筋肉を揺らしている様子がよく見られますが、プロのアスリートが実践している方法でもあるので、かなりの効果があるはずですよ。

「リンパを流す」

最近メディアでよく目にするリンパマッサージ。美容や健康に関する情報としては、顔や首筋、デコルテについて語られることが多いですが、肉離れが発生しやすい太ももやふくらはぎの周囲にも、たくさんのリンパ腺が走っています。

脛の骨の横からふくらはぎ、膝小僧のまわり、膝裏、太ももの内側から裏側、脚の付け根から鼠蹊部までがリンパ腺が集中している部分。下から上へ向かって流していくとリンパ液がスムーズに流れるようになります。筋肉をほぐしつつ、老廃物の排出や循環機能の向上にも効果が期待できます。

「全身マッサージ」

肉離れが治ってからのマッサージは、痛めた患部に集中してしまいがちですが、筋繊維は筋膜という薄い膜に覆われていて、各組織を連結しており、全身がひとつにつながっています。

マッサージを一カ所に集中すると、逆に周囲との筋力や柔軟性のバランスが取れなくなり、別の箇所を痛める可能性も出てきます。

セルフの場合、手の届く範囲でかまわないので、できるだけ全身くまなくマッサージするように心掛けましょう。

マッサージ中に、患部にしこりを発見したら病院へ。

肉離れを起こすと、断裂した筋繊維の先が硬く固まってしまい、筋硬結というしこりのようなものができることがあります。

運動時に問題がないなら、そのままで大丈夫なこともありますが、しこりが大きいような場合には、血管や神経に触ってしまうなど、除去手術が必要な場合も出てきます。

セルフでのマッサージ中に、筋肉に異変を感じたら、病院や治療院で詳しく診断してもらうようにしましょう。

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