1日でも早く完治させたい! 肉離れのリハビリ方法
ランニングやサッカーなどで走行中に、急にふくらはぎや太ももの裏側に痛みが走り、走ることはおろか歩くこともままならない…といった症状を引き起こす「肉離れ」。痛みは消えても、筋肉が回復し完治するまでに時間がかかるため、多くのスポーツ選手が、この肉離れに悩まされています。
とくに現在のランニングブームで走ることの魅力に目覚めたビギナーには、1日も早く走りたいと完治する前に運動を再開してしまい、再発を繰り返し、クセになってしまったという方も多いようです。
今回は、最も発生しやすい太ももの裏面(ハムストリングス)の肉離れにスポットを当てて、早期完治をめざした効果的なリハビリトレーニングをご紹介します。
肉離れの度合いと完治までの治療期間
肉離れは、症状によって数日から数ヶ月と治癒の期間が大きく変わってきます。
肉離れを起こした場合には、病院や治療院などの専門家にしっかり診断してもらい、自分の症状がどれぐらいかを知ることが大切です。
肉離れはレントゲンでの診断が難しいため、MRIなどの設備が整った病院で受診してもらうことをおすすめします。
肉離れの症状の度合いは、以下の3段階に分かれます。
軽度(1度・顕微鏡的断裂)
- 反復的・持続的な筋収縮により筋や腱の組織が微細に損傷した状態。
- 患部を押すと痛みがある。
- 歩行はできるが、ランニングやジャンプでは全力が出せない。
- 全治まで数日~3週間
中度(2度・不完全断裂)
- 筋線維や筋周膜などの一部が損傷、または部分的に断裂した状態。
- はっきりと患部に圧痛を感じる。
- 歩行が可能なこともあるが、ランニングやジャンプは不能。
- 全治まで1ヶ月~3ヶ月
重度(3度・完全断裂)
- 筋肉が部分的に、もしくは完全に断裂した状態。
- 圧痛や自発痛など、痛みを顕著に感じる。
- 歩行が完全に不能。
- 完治するのに手術が必要な場合がある。
肉離れの受傷から完治までの流れ
肉離れは、とても再発しやすい故障です。そのため、セルフによるリハビリは慎重に行う必要があります。専門の医師や治療院などでアドバイスを受けながら行うと良いでしょう。
ここでは、肉離れの受傷直後から回復期までのリハビリテーションについて時系列でご紹介します。
1.受傷直後
受傷直後は患部の保護と炎症のコントロールを最優先します。アイシングや弾性包帯での圧迫を行い、安静にするよう心掛けましょう。受傷後3~5日間はストレッチや筋力トレは厳禁です。
2.受傷から3~5日後
数日置いて痛みが軽減してきたら、ハムストリングを伸ばして、痛みがあるかどうかを確認します。セルフで確認する場合は、仰向けに寝て太ももの裏を抱え上げ、膝をゆっくりと伸ばしていくようにします。このとき痛みを感じなくなった時点から、リハビリを開始すると良いでしょう。
3.リハビリ期
肉離れの治療はストレッチを主体に、筋肉への負荷を段階的に上げていきます。受傷して間もない頃は、筋肉が硬くなり筋力が弱まっているため、柔軟性を高めながら筋力アップをめざします。無理をすると再発する場合もあるので、慎重に実践していきます。
4.回復期
基礎的なリハビリストレッチが痛みや不安なく行えるようになったら、完全復帰に向けた運動を開始します。まずはジョギングから始めて、痛くなければジャンプやダッシュなど、それぞれのスポーツに必要な動作を行い、完全復帰を目指します。
肉離れ完治に近づく4つのリハビリトレーニング
肉離れは患部の筋肉とその周囲が損傷するため、受傷後は筋肉が弱っています。そのため、完治するまでには弱った筋力をアップする筋トレが必要となります。
ここでは、マシンなどを使わず、自宅でもできる4つのリハビリトレーニングをご紹介します。
うつ伏せレッグカール
①ベッドやマットの上にうつ伏せの状態になります。
②発症した脚の膝をゆっくりと直角に曲げます。
③太ももに負荷がかかっていることを確認しながら、ゆっくり下ろします。
④上記の①~③を無理のない程度に繰り返します。
うつ伏せヒップエクステンション
①ベッドやマットの上にうつ伏せの状態になります。
②発症した脚全体を、膝を伸ばしたまま上に上げます。
③痛みを感じるか、骨盤が浮く直前まで上げ、ゆっくり下ろします。
④上記の①~③を無理のない程度に繰り返します。
仰向けブリッジエクササイズ
①仰向けになり、角度が90°になるよう膝を立てます。
②腹筋に力を入れ、腰が反らないよう注意しながら、ゆっくりお尻を上げます。
③胴体と太ももが一直線に伸びたところでストップします。
④腹筋を使いながら、ゆっくりとお尻を下ろし、元の姿勢に戻ります。
⑤上記の①~④を無理のない程度に繰り返します。
ハーフスクワット
①床の上で肩幅程度に脚を広げて立ちます。
②上半身を前に軽く倒しつつ、股関節と膝を曲げて、ゆっくりお尻を下ろしていきます。
③膝が45°に曲がるところまでお尻を下げたらストップします。
④太ももに負荷がかかっていることを確認しながら、ゆっくり元の姿勢に戻ります。
⑤上記の①~④を無理のない程度に繰り返します。
とても簡単なリハビリトレーニングですが、筋力の回復には焦りは禁物です。肉離れの再発に注意しながら、少しずつ回数を増やしていくなどして、基礎的な筋力アップを図ってください。
肉離れのリハビリ継続は再発の予防にも。
いったん肉離れを起こすと、損傷した筋肉が回復しても、新しい筋肉は発症前の筋肉より硬く、強くなっています。肉離れが再発しやすいのは、それも原因のひとつ。そのため、再発予防には、筋肉の柔軟性を高める必要があります。
上記で紹介したリハビリトレーニングは、日頃のストレッチとしても効果がありますので、完治した後も継続することをおすすめします。
ストレッチとして実践する場合は、ゆっくりと筋肉を伸ばし、柔軟性を高めることを意識しながら、左右両足ともに行うようにしましょう。