あれも肉離れの原因? ちょっと意外な7つの要因

一度、発症してしまうと、なかなか完治せず、すぐに再発してしまう、アスリートの天敵『肉離れ』。筋肉が皮膚の内側で損傷や裂傷を負うことで発生するケガですが、その要因は実に様々です。

知識の豊富なトップアスリートなら知っていることはたくさんあると思われますが、アマチュアやビギナーだと「え?そんなことも肉離れの原因になるの?」とびっくりされるようなこともあるでしょう。

今回は、ちょっと意外で、見落とされがちな肉離れの要因についてご紹介します。

直接的な肉離れの原因は、“硬い筋肉”が大きな問題

肉離れは、筋肉の筋繊維や筋肉を包む筋膜が、引き伸される力に対して収縮する力が大きい時に損傷や裂傷を起こして発症します。

ダッシュをした時やジャンプをした時、あるいはターンをした時など、急速な動作変更や着地した時などの衝撃でかかる負荷に、筋力が耐えきれなかった場合に起こりやすくなります。

肉離れの発生しやすい世代は、小学校の低学年ではほとんど発症することがなく、中学生や高校生ぐらいから増え始めます。さらに20代~30代以上になると、年齢に応じてリスクが高くなっていきます。

また、肉離れが再発しやすい理由としては、筋肉は一度損傷すると回復時に以前より強く硬く修復されるためだといわれています。

こうしたことからも、肉離れを直接的に引き起こすのは、筋肉の状態が硬く硬直していることが原因だと推察できます。

肉離れになりやすい筋肉をつくってしまう意外な7つの要因

では、筋肉が硬くなってしまうのには、どのような理由があるのでしょうか。硬い筋肉を作ってしまう要因をピックアップしてみます。

 

① 筋力不足・運動不足

筋肉は、使わないでいると、筋繊維がどんどん細く、硬くなっていきます。そのため、日頃から身体を動かしたり、運動をしていない人が急に激しいスポーツを行うと、肉離れになるリスクも当然高くなってしまいます。ダイエットや健康維持の目的で、これから運動を始めようという方は、少しずつ筋力を高めていくことを心掛けましょう。

② 過度のトレーニング等による筋肉の疲労

見事にパンプアップされた隆々とした筋肉は、見栄えも良く、強そうに見えますが、行き過ぎたトレーニングは、筋肉を疲労させ、筋力を弱めてしまいます。

また、筋肉は、筋トレなどの運動によって筋繊維をあえて傷つけることで硬く太い筋肉に回復するというメカニズムで成長しています。休みなくトレーニングや練習を続けることは、自ら肉離れしやすい筋肉を作ってしまうという、悪循環にもなってしまいます。

③ 加齢による筋肉の硬化

人の身体は、加齢によって筋肉を再生しづらくなってしまいます。筋肉を構成する繊維タンパク質であるコラーゲンの生成量が減少するほか、筋肉を修復・回復させる成長ホルモンの分泌も減少していきます。

年齢を重ねるに応じて、筋肉が硬くなり、動作も鈍くなってしまうのは、そのように体調が変化しているからです。

④ アンバランスな体型

好きなスポーツで必要と思われる筋肉だけを鍛えても、とっさのアクシデントに対応できる全体的な筋力がなければ、肉離れの原因になってしまいます。

筋肉を構成する筋繊維は、筋膜という薄い膜に覆われていますが、筋膜は、部分的な筋繊維だけでなく、内蔵や骨、血管などもネットのように覆っており、身体全体を包み込んでいます。

肉離れなどの故障が起こった際は、患部だけに意識がいきがちですが、身体はひとつに繋がっていることを意識することが大切です。

⑤ 気温の変化や体温の変化

人は、寒い場所に行くと、筋肉が勝手に硬直して体温を上げようとします。寒い季節や気温の変化の激しい時期に肉離れが多く発生するのはそのためです。

また、薄着で体温が下がったり、冷たいものを飲み過ぎて身体が冷えたりといったことでも、筋肉が硬直してしまうため、肉離れを発生させるリスクになるといえます。

⑥ 偏った栄養と水分不足

筋肉はタンパク質によって構成されていますが、タンパク質だけを摂取しても効率よく生成されません。質の良い筋肉の生成には、さまざまなビタミン群やアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸といった栄養素も必要です。

また、筋肉を動かすエネルギーとなる炭水化物も、スポーツはもちろん生活していく上で欠かせません。

さらに、水分不足になると、血流が悪くなり、筋肉に酸素が運ばれにくくなるとともに老廃物の排出も滞ります。

⑦ 睡眠不足や精神的なストレス

極度のプレッシャーや緊張など、精神的なストレスも筋肉を強ばらせる要因となります。学校の勉強や仕事の人間関係など、運動時以外のストレスも、身体を硬直させる十分な要因になり得ます。

とくに睡眠不足によるストレスは、心拍や体温などの体調に大きく影響します。

このように、“肉離れ”のリスクになる要因は、実に身近に潜んでいます。

体質や生活習慣など、個人差によるものもありますが、肉離れは「いつ発生しても不思議ではないケガ」とも言えるでしょう。

万が一のことがないように、肉離れの要因についてしっかり理解した上で、あなたに適したスポーツライフをお楽しみください。