肉離れにならない身体をつくる、3つの体幹トレーニング

一度なると治りにくく、治ったと思っても、またすぐに再発してしまう『肉離れ』。すでに発症した経験のある人も、また、肉離れの治療の難しさを聞いて予防を心掛けている人も、きっと多いことでしょう。

肉離れは、筋肉が激しく伸縮する際に発症することが多く、筋肉の柔軟性が低下している時に最も発生しやすくなっています。

本来、筋肉はゴムのように柔軟性の高いものです。それが、加齢や疲労、冷えなどのさまざまな理由によって硬くなってしまい、肉離れのリスクを高めているのが実情です。

肉離れをはじめ、運動中のケガは、いつ発症するかはわかりません。しかし、日頃のトレーニングや生活習慣の意識を少し変えるだけで、かなり予防することはできます。

肉離れになりにくい身体をつくる生活習慣

柔らかい筋肉とは、筋トレで作れるものではなく、筋肉がリラックスして緩んだ状態のことを指します。そこで、日頃のちょっとした意識づけで、今の筋肉を柔らかくケガをしにくい状態に変えていく、簡単な方法をご紹介します。

ウォーミングアップとクールダウンは念には念を入れて。

運動の前には、筋肉にこれから激しく活動することを意識づけるようにウォーミングアップを入念に行いましょう。

また、激しいスポーツをした後には、クールダウンもしっかり行うことが大切です。急に運動をやめるのではなく、徐々にスピードを緩め、最後に全身的なストレッチで力の入った筋肉をほぐすようにします。

身体を動かした後はシャワーを浴びたり、アイシングするなどして、筋肉に炎症や疲労が残らないように気をつけましょう。

食べる、眠る、温めるを、毎日しっかりと。

タンパク質やビタミン群、アミノ酸など、筋肉を構成する栄養素を効率よく摂取するためにも、1日3回の食事を6回に分割して、こまめに取るようにしてみましょう。また、筋肉内の血流を良くするために、1日1.5リットル以上の水を飲むように心掛けましょう。

お風呂はシャワーで済ませるのではなく、40度前後のぬるめのお湯に20~30分つかるように。のぼせそうな場合は半身浴でも効果があります。入浴後には、セルフマッサージで筋肉の緊張を揉みほぐして疲れを残さないようにしましょう。

質の高い睡眠を取ることも、柔らかい筋肉をつくるのに大切です。就寝の3時間前には食事を済ませ、寝る前に全身の筋肉を伸ばすような軽いストレッチを行うなどして、成長ホルモンの分泌を促すことも筋肉づくりに効果があります。

自分だけの“ルーティン”で、常に“平常心”に戻れるように。

常に筋肉がリラックスした状態を作るためには、緊張していることに気づくことが大切です。

メジャーリーグのイチロー選手の打席での動作で知られるようになった“ルーティン”は、一般の私たちでも日々の習慣で身に付けられるます。

筋肉がリラックスした状態の時にすぐできること、たとえばシャツの裾を掴むなどを常に意識づけて繰り返すようにします。いつもと違う状態の自分に気づいた時に、いつもの自分に戻るきっかけとして、ごく簡単な動作をルーティンとして身につけてみましょう。

ブレない身体をつくる、3つの体幹トレーニング

肉離れは、太ももやふくらはぎの表層筋(アウターマッスル)に主に発症しますが、その表層筋を内側で支えるのが深層筋(インナーマッスル)です。

インナーマッスルは触ることも目で見ることもできず、筋肉の深い部分で持久力や姿勢の維持、関節の固定といった役割を果たしています。インナーマッスルを鍛えることで、姿勢の乱れや正しいフォームが維持できるようになり、ケガの防止にも繋がります。

ここでは、インナーマッスルの中でも胴体に位置し、全身の筋肉に最も影響がある“体幹(コア)”を鍛えるごく簡単なトレーニングを3つご紹介します。

1.ドローイン

腹横筋というお腹全体を包み込み、背骨に直接つながる、コルセットのような役割のインナーマッスルを鍛えます。呼吸でお腹の中の圧力を高めることで、身体の軸を安定させる効果があります。

① 膝を立てた状態で、仰向けに寝ます。
② 息を吸いながらお腹を凹ませます(逆腹式呼吸)。
③ お腹を凹ました状態のまま息を細くゆっくり吐き出します。
④ お腹の空気を出しきったと感じたら、凹んだ状態を10秒キープします。息は止めず、胸で浅く呼吸してください。身体が慣れてきたら、キープする時間を少しずつ増やしていきます。

2.フロントブリッジ

胴体の深層部の4つの筋肉(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群)を鍛える、代表的な体幹トレーニングです。1のドローインと同様の呼吸法で、お腹をしっかり固めていきましょう。

① 腕立て伏せの姿勢から、床に肘をついて上半身を支えます。
② お尻を浮かせて、肘とつま先だけで身体全体を支えます。
③ お尻が上がり過ぎたり、お腹が落ちたりしないように、首から背中、かかとまで、一直線になるように伸ばします。
④ お腹を凹ませた状態で、浅く胸で呼吸しながら、姿勢を10秒キープします。身体が慣れてきたら、キープする時間を少しずつ増やしていきます。

3.サイドブリッジ

2のフロントブリッジの横向きバージョンです。体幹の中でもとくに背骨から骨盤の安定に効果を発揮します。これもドローインと同様の呼吸法で、姿勢をしっかり維持するようにします。

① 膝を90度に曲げて横向きに寝た状態から、片肘をついて上半身を起こします。
② 肘と膝だけで身体全体を支えるようにして、骨盤を浮かせます。
③ 腰やお尻が落ちないように、首から背中、お尻まで、一直線になるように伸ばします。
④ お腹を凹ませた状態で、浅く胸で呼吸しながら、姿勢を10秒キープします。身体が慣れてきたら、キープする時間を少しずつ増やしていきます。

“体幹”を含むインナーマッスルを鍛えることは、ケガをしにくい肉体づくりに不可欠です。

生活習慣を見直すとともに、目に見えない筋肉にも意識を向けることで、あらゆる動きに柔軟に対応できる身体を手に入れられるかもしれません。

太ももやふくらはぎなど部分的な筋肉にばかり気を取られることなく、身体の“芯”からバランスの取れた、しなやかな肉体づくりを目指してください。

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