肉離れ予防のテーピングについて、心得ておきたい6つのポイント
プロのスポーツ選手はもちろん、街中を走る一般のランナーの間でも脚などにテーピングをしているアスリートをよく見かけるようになりました。
インターネット上でも、「肉離れ、テーピング」といったキーワードが上位に表示され、さまざまな動画もたくさんアップされており、多くの人たちの関心事になっていることは間違いありません。
言い換えれば、それだけたくさんのアスリートたちが「肉離れ」に悩まされ、その予防対策となる「テーピング」に魅力を感じているといえるでしょう。
しかし、見た目は簡単そうに思えるテーピングには、人の身体の構造や運動中の筋肉の動きなどの専門的な知識や、効果的に患部をサポートするための技術が必要なことをご存知でしょうか。
今回は、テーピングに関心を持っている初心者の方に、最低限知っておきたいテーピングの基礎知識をご紹介します。
テーピングが有効なケガと、治療上の目的、テープの種類
テーピングは、外傷がなく皮膚の内側の筋肉や腱、関節組織などに損傷がある「非開放性損傷」に効果があります。
テーピングは、そうした非開放性損傷の治療上の目的に応じて施術され、さまざまな種類のテープから目的に適したものを使用します。
テーピングを実践する前に、有効なケガの種類や治療の目的、テープの種類など、主だったものをしっかり覚えておきましょう。
テーピングが有効なケガは?
肉離れ、捻挫、打撲、骨折、脱臼、突き指など
テーピング治療の目的は?
- ケガの予防…故障が発生しやすい部位を予め補強します。
- 応急処置…故障発生直後に患部を固定・圧迫し、悪化を防ぎます。
- 運動時の除痛…運動時に発生する痛みを緩和します。
- 再発防止…以前に発生した故障箇所を補強・保護します。
テーピングテープの主な種類は?
・非伸縮性テープ
故障発生時の応急処置など、患部をがっちり固定したい場合に効果的です。ホワイトテープやコーチテープなどの種類があります。
・伸縮性テープ
関節の稼働域を制限しつつ曲げ伸ばしができる伸縮性があります。怪我の予防や、関節部位を固定・圧迫したい時に効果的です。
・ネオキシテープ
筋肉と同様の柔軟性があり、筋肉の動きをサポートします。ある程度ケガが治ってから運動しつつ完治させる場合に効果的です。
・アンダーラップ
粘着力がなく、粘着材によるかぶれや水ぶくれなどから皮膚を保護します。テーピングの下地としてよく使用されます。
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セルフテーピングの前に、心得ておきたい6つのチェックポイント
本来、テーピングは専門的な知識が必要なため、医師や整体師などの専門家にお願いするのがいちばんです。
しかし、「治りかけているケガを運動しながら完治させたい」「肉離れが起きた時に自分で応急処置をしたい」「仕事が忙しく病院に行く時間が取れない」など、セルフテーピングの方法を知りたい人にはさまざまな事情があることでしょう。
そこで、これからセルフでテーピングを行う前に、ぜひ以下の6項目をチェックポイントとして心得ておいてください。
① 正確な診断~患部を圧迫しすぎていないか?
ケガの原因・状態などから、テーピングが適した故障かどうかを適切に判断する必要があります。肉離れの場合では内出血の有無や筋肉の陥凹などから、ケガの度合いを判断する必要があります。
② 末梢部の循環障害~患部を圧迫しすぎていないか?
肉離れなどで内出血を起こして腫れた患部には、血管を圧迫しすぎず、腫れの逃げ場を作るようなテーピングが必要です。太ももなどの患部をテーピングで一周する場合などには、きつく締め付けすぎないよう注意しましょう。
③ 神経障害による麻痺~神経を避けているか?
二の腕の後ろや肘の内側、膝の外側など、神経が皮膚の浅層を通っている箇所では、神経圧迫による麻痺を引き起こすこともあります。その場合、神経を避けるかパットなどを当てて神経への圧迫を回避する必要があります。
④ 筋肉・腱の障害~適切に固定・圧迫できているか?
筋肉や腱を横断するようなテーピングをする場合には、筋肉への過度な圧迫や、腱炎・腱鞘炎などを予防することが大切です。患部を緊張させた状態で固定したり、パット、伸縮性テープを用いるなど臨機応変な判断が必要です。
⑤ 過度な運動制限~関節や靭帯の動きに影響はないか?
関節の周りに多くのテープを巻いて無闇に固定するのではなく、制限する必要のある動きを確認し、靭帯の場所を把握した上で効果的なテーピングを行うことが大切です。
⑥ 施術箇所の確認~技術や衛生面に問題はないか?
患部が汗や泥で汚れていたり、テーピングした部分にシワやたるみがあったりすると、かぶれや水ぶくれなどの原因になる場合があります。テーピングの際には、事前に消毒や手洗いなどで衛生面に注意し、正しく貼れるよう注意しましょう。
肉離れ予防のテーピングは、何度も練習して修得することが大切
セフルによるテーピングに興味がある方は、まず、かかりつけの医師や整体師など、身近な専門家から指導してもらう方法が、技術の習得への近道といえるでしょう。
また、医療メーカーや医療機関によるセミナーなどに積極的に参加して徐々に知識を身につけることも可能です。
しかし、それも難しい場合には、書籍やネットを調べて、独自に学んでいくことになります。
ネット上には、セルフテーピングが学べる動画も、すでにたくさんアップされています。
その中から、自分の症状に合わせた貼り方を調べて、試行錯誤を繰り返しながら、何度も練習を積み重ねることが大切です。
ただし、セルフによるテーピングは知識と経験が必要な技術です。まだケガが治りきっていない状態なら、まず、完治させてから、再発予防の一貫として、焦らずゆっくり練習していくことをおすすめします。