姿勢と筋トレの関係とは?やりすぎはNG?ホント?

姿勢と筋トレ。多くの人が「正しい姿勢」、「美しいボディ」を求めて、ジムやヨガ教室に通っているという話を聞きます。果たして「正しい姿勢=筋トレ」、「筋トレ=正しい姿勢」は正解なのでしょうか?

筋トレの目的

筋トレ、筋トレと一口に言いますが、筋トレにも種類があるのをご存知ですか?

筋肉を緊張させる(硬直させ力を入れる)力を継続させる為の「筋持久力」。

筋肉の表面上の見た目を変化させる「筋肉量の増加」。

筋肉の負荷に対する力を上げる「筋力の増加」。

そして力のエネルギーの発揮速度を上げる「筋パワーの強化」

 

この4種類に分類されます。ただ単に腕立て伏せや、腹筋、背筋などを筋トレというのではなく、筋肉をどのように変化、強化するかでメニュー自体も大きく変わります。まずはこの4種類の筋トレについて解説していきます。

 

筋持久力強化

筋持久力の定義は「筋肉が最大限、力を発揮し続ける能力」を指します。最近人気の「ボルダリング」などはこの筋持久力が重要なスポーツですね。

筋持久力を鍛える為には、人によっても様々ですが、「負荷の反復を限界まで行う」事が筋持久力を鍛える為の重要なメソッドです。例えば、片手で最大10㎏のダンベルを最高10回まで上下させることが出来る人が筋持久力を上げる為には、80%の負荷で20回(限界回数まで)行う必要があります。また、人によって変わってくるのが、この筋持久力トレーニングの特徴です。50%(5㎏)のダンベルを100回以上行うやり方があっている人、重さ10%(1㎏)を500回以上やったほうが合っているという人もいます。

どちらも共通して「反復できなくなるまで行う」というのが基本の、「無限マラソン」的なトレーニングです。

 

筋肉量の増加

筋肉量の増加と言えば「ボディビルダー」ですね。

筋骨隆々なボディメイキングがメインで、筋力や筋パワー、筋持久力よりも、筋肉を肥大させ、美しく見せる為の筋肉作りがメインのトレーニングです。これには、脂肪を筋肉に変える為にたんぱく質やアミノ酸など食事のスタイルを変える必要があります。

 

筋力の増加

最大筋力とも言います。これは最大限持てる力の重さです。今の限界が50㎏のバーベルであれば、目標として70㎏のバーベルを持ち上げられるようにするためのトレーニングです。これは筋肉量と比例する力の為、筋肉量を増やさないまま最大筋力を上げることは出来ませんので、注意が必要です。

 

筋パワーの強化

強い力を速いスピードで発揮する為の力です。ほとんどのスポーツに必要な力です。

筋肉量、筋力があっても、その力を瞬間的に発揮できなければ、その筋肉は単なる飾りでしかありません。最大筋力を爆発的に発揮する能力は色々なスポーツで必要とされる力と言えます。

 

間違った筋トレはOUT!正しいフォームで行わなければならない理由

筋トレの4種類を理解したら、実際に筋トレを行ってみましょう。

ここで気を付けたいのが、各種の筋トレには決まったフォームがあり、そのフォームを間違えてしまうと、目的の筋肉強化が出来なくなってしまうことも。

 

間違った筋トレは目的の筋肉部位の強化にならない?

間違ったフォームで筋トレを行った場合の例を挙げます。

腹筋を例にとりましょう。皆さんが日頃行う腹筋はどんなスタイルでしょうか?仰向けに寝転がり、頭の後ろに両手を沿わせて上体を起こし、反復して腹筋を強化する。これが一般的な腹筋のスタイルですね。

ジムに行くと腹筋用のマシンがありますね。足の角度に傾斜をつけて行うことが出来る補助器具です。

この足の角度やフォームによって筋トレの種類が違うのは、前述した4種類の筋トレの記述からも薄々気づいているのではありませんか?

この角度を急傾斜させると「筋肉量の増加」と「最大筋力のアップ」が目的になります。傾斜を緩くして、反復回数を限界まで行うと「気持久力の強化」が目的になります。傾斜を最大と最小の間にして時間内に目標回数を行うと「筋パワーの強化」になるという事ですね。腹筋は自分の体重が「負荷」となる「自重トレーニング」と呼ばれている筋トレです。正しいフォームと言っても、複雑な動きをするわけではないので、それほど大きな「間違い」はありません。

間違いが出来ないのが「マシン(器具)」を使ったトレーニングです。

 

正しいフォームとインターバル

正しいフォームは筋トレのマシンメニューでもよく言われるポイントです。フォームが正しくないと、そのトレーニングで強化する目的の筋肉部位とは違う部位に負荷を与える事になり、場合によっては筋肉や関節を痛める事にもなりかねません。ジムや公共の体育館でマシンを使って筋トレする場合には、トレーナーや係員に正しいフォームと使い方を教えてもらうようにしましょう。

インターバルとはトレーニングのメニューのセットの合間にとる休憩の事です。

このインターバルの重要性はあまり触れられていないのが現状です。インターバルの長さによって筋トレ効果の4種類が変わってしまう重要な事なのに、です。

 

筋トレのインターバルには「短期」、「中期」、「長期」の3種類の時間があります。

「短期」…30秒前後

「中期」…60秒~90秒

「後期」…2分~5分

この3種類です。

 

「短期」の30秒の休憩の目的は、サーキットトレーニング(連続した色々な種類のトレーニングを行うこと)と同じ負荷を筋肉にかけるという事。その為、効果としては「筋持久力」と「筋パワー」のアップが見込めます。また、有酸素運動と同じ負荷を体にかけることが出来るため、ダイエットにも効果的なトレーニング方法です。

「中期」の60秒~90秒は「筋肉量の増加」=「筋肥大」の効果を生みます。筋肉を疲れさせることによって、回復時に血流やたんぱく質が筋肉の量を増やします。一般的な休憩時間はこの60秒~90秒にしているジムがほとんどではないでしょうか?

「後期」の2分~5分は「最大筋力」の上昇に効果があります。自身が持てる最大の重さを負荷にして、筋肉が疲れるまでトレーニングを行います。これを行うことで、筋肉の神経伝達能力を上げ、最大筋力をアップさせられるという事になります。

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姿勢矯正のための筋トレとはどこの筋肉を強化するべき?

筋トレの種類については理解出来ましたか?次に今回の記事のメインである「姿勢=筋トレ」について説明していきます。

 

重要な3つの筋肉

姿勢を維持する為に重要な筋肉の部位。それは「腹筋」、「背筋」、「体幹」の3点です。

特に背筋は上半身を支えるための筋肉「脊柱起立筋」があり、その筋肉のおかげで、正しい姿勢を取ることが出来ます。

この「脊柱起立筋」は正式には「脊柱起立筋群」と呼ばれる複数の筋肉の集合体を指しています。

姿勢を維持する役割を持つ筋肉は「棘筋」、「最長筋」、「腸骨筋」の3つです。これらを総称したのが「脊柱起立筋群」です。

背骨の内側に沿ってついている「棘筋」と、背骨の外側についている「最長筋」の反発作用によって正しい姿勢を保持されており、最長筋の外側についている「腸助筋」がその2つの筋肉を補佐しています。

脊柱起立筋群が衰えて、腹筋の割合が高くなると「猫背」になりやすくなります。

正しい姿勢を取る為の筋肉と力の割合は「腹筋3:背筋7」と言われています。そして、正しい姿勢を維持する為の筋持久力を「体幹」が担っています。

筋肉は刺激を与えると「収縮」します。その一方で「対角線で結ばれている反対側の筋肉(腹筋であれば背筋)」は収縮した筋肉に引っ張られ「伸張」します。この「張る」という漢字、「緊張」の「張る」ですよね?猫背の人の筋肉をイメージしてください。

体がくの字に曲がり、腹筋が収縮していますね。その反対に背中が丸くなり、背筋が伸張している様子がわかります。

背中が丸くなることで、首が前に突き出され、背筋から首すじの筋肉までも巻き込んで「伸張」します。この伸張する時に発生するエネルギーが「力」となって私達から発揮されます。発揮されている方向が体の一部なのであれば、それは「負荷」となって私達の体の「負担」になります。猫背の場合の「負担先」は首や肩であり、腰や骨盤という事になります。

 

偏った筋肉強化は猫背や反り腰の元になる?

姿勢が変わることで、普段の生活の中で使われている筋肉の強度が変化するというのは先ほど説明しました。

では筋トレを行うことで「姿勢」が変化するのでしょうか?

正解は「YES」です。

皆さんはボディビルダーの「直立不動」の姿を見たことがありますか?絶対に見たことがないはずです。

ボディビルダーの人たちは「見せる為、筋肉美」を目的とした筋トレを行います。腕周りやわき腹等、すべての箇所の筋肉を強化し、肥大させてダビデ像のような筋肉美を作っています。その肥大化した筋肉は痩せている時には出来たはずの「直立不動=きをつけ」の姿勢を出来なくしています。

先ほども述べましたが、筋肉は「対角線で結ばれている反対側の筋肉」同士の「収縮」と「伸張」によりエネルギーを発揮しています。

ボディビルダー達の「直立不動」の姿勢は両腕が両脇にくっつくことがありません。それは反発し合う筋肉群が、近い位置にある為くっつける事が出来ないからです。

これと同じ原理が、偏った筋トレにより悪い姿勢を引き起こす事に起こり得ます。

割れた腹筋を目標にして、腹筋トレーニングばかりをおこなっていたら、腹筋が強化され収縮します。すると…。もう言わなくてもお分かりだと思います。そう!猫背になってしまうのです。

腹筋を割りたいのであれば、腹筋トレーニングの2倍の強度トレーニングを背筋にも行う必要があります。

それが「3:7の法則」です。自分の強化したい筋肉に合わせたトレーニングメニューを立てるようにしましょう。

筋トレのし過ぎで悪い姿勢になってしまったのでは、まったく意味がありませんからね。

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まとめ

「筋トレ=正しい姿勢」は正解だったでしょうか?メニューによってはイコールになりますが、自分の姿勢によってはイコールにならないむしろマイナスな面の方が多い事がご理解頂けたかと思います。

 

正しい姿勢や美しい体はなんといっても「バランスの取れた筋肉トレーニング」から生み出されるものです。トレーニングだけではありません。筋肉疲労や筋肉の緊張をほぐす為のストレッチも重要なステップです。

そして一番大事なのが「普段の生活の中での姿勢」です。姿勢矯正の為に色々なトレーニングを行うのも良いことですが、それだけでは正しい姿勢になることはありません。

それを踏まえてこれからの生活の中での正しい姿勢習慣。始めてみませんか?

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