この痛みは肉離れ? 痛みが似ているケガの見分け方
ランニングや運動の最中に突然足に起こる激痛。また、すやすやと寝ている時に足が吊って眠れなくなる痛み。こうした痛みはしばらくすると治まってしまうので、ついつい放置しがちですが、似たような痛みでも、原因や治療方法が違うこともあります。
一度起こったケガを放置しておくとクセになり、大怪我につながったり、完治するまでに時間がかかったりする場合もあります。
身体が、常に健全な状態でいられるよう、あらかじめ足の痛みについて確かな知識を身につけておきましょう。
運動時に起こりやすい「肉離れ」とは?
ランニングやサッカーなどで走行中に、急にふくらはぎや太ももの裏側に痛みが走り、走ることはおろか歩くこともままならない…という状態になったことはありませんか?
そのほとんどが、いわゆる「肉離れ」と呼ばれる症状です。
肉離れは、正式には症状の度合いによって「筋損傷」や「筋断裂」と診断されるもので、運動中に、伸ばされている筋肉が急激に収縮した時に損傷を生じた状態を指します。
肉離れを起こす主な原因としては
- 平素の状態から急激な筋肉の収縮よって起こるもの
- 長時間の反復的な筋肉の収縮によるもの
- 仕事や運動中の過度の負荷によって筋や腱が損傷するもの
といったものが上げられます。
つまり、軽度の肉離れは発症部位の使い過ぎが原因になっていることが多く、ふつうに生活していても起こりえる、とっても身近なケガとも言えます。
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肉離れと似た症状のケガとの見分け方は?
筋肉に痛みの出る症状であっても、発生時の状態など原因や治療方法が全く異なるものがあります。ケガの症状に応じて正しく対処できるよう、ケガの種類と見分けるポイントをあらかじめ知っておくことが大切です。
ここでは、4種類の筋肉に痛みを感じる主な疾患をご紹介します。
遅発性筋痛
いわゆる「筋肉痛」として知られている症状のこと。運動中に起こる肉離れと違い、運動が終わった数時間後から翌日~翌々日というように、時間を置いてから発生するのが特徴です。また、痛みの箇所を特定しにくいことも、肉離れと見分けるポイントになります。
慣れない運動を行ったときや、ふだん使わない筋肉を使い過ぎた場合などによく起こります。
筋膜炎
過度の運動などによって筋肉を包んでいる膜(筋膜)が疲労して炎症を起こし、こわばりや痛みが発生します。ふくらはぎや足の裏、腰に起こることが多く、アスリートに多く見られます。
肉離れとは見分け方が難しい疾患ですが、医療機関でMRI検査を受けると簡単に識別できます。
筋挫傷
筋挫傷は、足が何かに接触した際に筋肉が損傷した場合に起こります。サッカーやラグビーなどの選手同士の接触が多いスポーツで起こりやすく、症状や応急処置の方法は肉離れと変わりませんが、筋挫傷は外部からの強い衝撃による受傷のため発症原因がはっきり異なります。
こむら返り
「こむら(腓)」とは、ふくらはぎを表す言葉で、主にふくらはぎに発症します。正式には「筋痙攣」と呼ばれ、突然、足が吊ったようにこわばり、激痛をともないます。
肉離れは運動中に筋肉が損傷し力が入らない状態になりますが、こむら返りは睡眠中など運動時以外にも発症し、筋肉が痙攣して力が入ったままの状態が続くといった点が、見分け方のポイントになります。
こむら返りは、疲労や運動不足、電解質の異常などで起こるため、日頃のストレッチやバランスの取れた食事などで改善することもできます。
肉離れなどのケガを予防する方法は?
肉離れをはじめ筋肉に関するケガは、日頃の生活習慣である程度予防することができます。急激に筋肉に負荷をかけず、常に筋肉を良い状態に保つことを意識しながら、以下のことを実践してください。
ウォーミングアップ&クールダウン
運動の前には、ストレッチをゆっくり行い、軽いジョギングから始めるなどウオーミングアップを入念に行って、筋肉を充分にほぐしてましょう。また、運動後には筋肉に疲労が残らないように、クールダウンもしっかり行うことが大切です。
温浴と睡眠
筋肉の血流をよくするため、運動して30分後ぐらいにぬるめのお風呂にゆっくり入ります。入浴後にはストレッチやマッサージでリラックスし、心も体もほぐしてから、十分に睡眠を取るよう心掛けましょう。
栄養バランスを考えた食事
食事では、傷ついた筋肉を修復するタンパク質をたっぷり摂るようにしましょう。また、消費したエネルギーを補う糖質や、汗で失われた水分やビタミン、ミネラルなどを補えるよう、肉や魚、大豆や乳製品、野菜や果物など、栄養バランスを考えた食事を摂ることが大切です。
また、タンパク質の素であるアミノ酸のサプリメントを運動後や就寝前に摂ると、ケガの少ない良い筋肉をつくるのに役立ちます。