その痛みはどこから来てる?股関節が痛いときの4つの要因

股関節は、人の上半身と脚をむすぶ非常に重要な関節。しかも全身の関節の中でも特に痛めやすい関節といわれます。

とくに日本人は、世界的に見ても股関節痛に悩む人が多く、推計で400〜500万人の人が股関節痛に苦しんでるとされています。

最初は、歩いているときに脚の付け根に感じる違和感から始まり、それを放置してしまうことで、痛みに変わり、やがては寝ているときも痛むようになってきます。

股関節痛は、痛みを抑えるために動かさないようにすると股関節まわりの筋肉が硬直してしまい、次に動く時にまた痛めやすくなる悪循環を繰り返す可能性がおおいにあります。

以下に、4つの股関節痛の原因をご紹介しますので、現在、股関節の痛みに悩まされている方は参考にしてください。

運動不足と姿勢の悪さ

日頃から運動をあまりしない方は股関節に痛みが出やすい傾向にあります。運動不足による筋力の低下が、股関節まわりの筋肉を硬くしてしまい、それが痛みを引き起こすからです。

また、常に重力に逆らいながら立ったり、歩いたりする人の身体は、無意識のうちに全身の関節を使って楽な体勢を選ぼうとします。その結果、背中を丸めたり、肩の位置をずらしたり、歩く時にすり足になるなど、日頃の姿勢に影響を与えます。正しい姿勢への意識や運動をする習慣がなければ、身体の正しい動かし方を忘れてしまい、本来の動きができなくなります。

股関節は、上半身と下半身をつなぐ身体の要であるため、そうした肉体のひずみが集中しがちです。

股関節の痛み予防するためには、日頃から適度な運動と正しい姿勢の維持を心掛けることが何より大切です。

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意外と見落とされがちな、胃腸の冷え

整骨院に股関節痛を訴えて来院する患者さんの中で、意外と多くの割合を占めるのが、冷たいものの飲み過ぎ、食べ過ぎによる、「冷え」という柔道整復師もいます。

股関節の可動に不可欠な腸腰筋(骨盤の内側で腸と接している腸骨筋や腰を支える大腰筋)は、太ももの付け根につながっており、これらの筋肉が冷えて硬直化してしまうと、股関節の動きが制限されてしまい、痛みを伴ってしまいます。

夏場の暑さをしのぐためや、あるいは汗っかき、猫舌などの体質から、冷たい食事を好んで食べる方は、知らず知らずのうちに、胃腸を冷やしてしまい、結果的に腸腰筋まで冷やしてしまっている可能性があります。

股関節痛の予防のひとつとして、食事はできるだけ温かいものを食べるように心掛けましょう。

打撲や捻挫・脱臼などのケガによる股関節痛

股関節の痛みは、急性のケガによるものも多くもあります。

例えば一般的には「打ち身」や「打撲」と呼ばれる挫傷。外部から強い衝撃を受けた際に筋肉や血管などの組織に損傷が生じて起こります。

また、慣れない運動をした後に股関節まわりで「筋肉痛」が起きても、股関節痛と感じられます。

これらの「打撲」や「筋肉痛」による股関節痛は、股関節の周囲にある筋肉を痛めた場合に起こります。

筋肉ではなく、股関節そのものを一時的に痛めるケガとしては、「捻挫」や「脱臼(亜脱臼)」などが挙げられます。

これらは、無理な動きをしたことによって股関節が可動域を超えてしまった場合に発生しがちです。

関節の動きが可動範囲を超えると、関節軟骨が傷つけられ、同時に関節包や靭帯などの関節をスムーズに動かす器官までダメージを受けます。その箇所が、炎症を起こし、腫れやほてりを伴った強い痛みを生じます。これが一般的にいう「捻挫」です。

また、この時に股関節が骨盤の寛骨臼からズレたり、外れたりしてしまい、元の状態に戻らなくなると、「亜脱臼」や「脱臼」となります。

場合によっては小さな骨折を起こして、激しく痛むことがあります。さらに、治療後もしばらくは痛みが続き、リハビリが数ヶ月から半年程度の期間が必要になる大ケガにもなりかねませんので、どのような状況で股関節を痛めたかをはっきり理解しておくことも大切です。

変形性股関節症などの病気

股関節に痛みを起こす病気や症状は様々ですが、日本では「変形性股関節症」という病気が多くの割合を占めています。

変形性股関節症は、加齢や日常生活における負荷などによって次第に股関節の関節軟骨がすり減っていく進行性の病気です。

初期では、立ったり歩いたりの動作の初動時、あるいは運動をした時などに症状が限られていますが、病気が進行すると関節軟骨がすり減って無くなってしまい、最終的には大腿骨と骨盤が接触したり、骨が変形してしまうといった症状を起こすこともあります。

そこまで進行すると、寝ていても慢性的な痛みを生じ、日常的な生活にも大きな支障を引き起こし、人工関節などの手術が必要になってしまいます。

変形性股関節症は、加齢や運動不足、あるいは運動の過多によって生じる場合もありますが、日本人の、とくに日本人女性が発症する場合のほとんどは「臼蓋形成不全」が要因となっています。臼蓋形成不全は、股関節を受け止める骨盤のくぼみ(寛骨臼)が、先天的に不完全な状態で、遺伝的な要因が強いといわれています。

若いうちは問題がなくても年齢を重ねるうちに股関節へのダメージが蓄積され、中高年になってから、変形性股関節症を発症してしまうというパターンが非常に多いのが実情です。

臼蓋形成不全は遺伝的な要素が強いといわれていて、生まれつきの骨格の問題であるため、成長の途中で自覚することは難しいかも知れません。しかし、臼蓋形成不全は変形性股関節症の前段階とされています。股関節の違和感や痛みが気になったら、整形外科でレントゲンを撮ってもらい確認してみてはいかがでしょうか。

 

他にも、股関節に痛みを発症する病気としては、

  • 骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折
  • 化膿性股関節炎
  • リウマチ性疾患
  • 大腿骨頭すべり症
  • ペルテス病
  • 特発性大腿骨頭壊死症(難病指定)

といったものも挙げられます。

股関節痛は、日頃の姿勢や生活習慣を改善することで、かなり改善することも可能ですが、大きな病気が隠れていることもあります。

痛みを我慢しすぎず、早めに病院や治療院で適切な診断を受けることをおすすめします。

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