病気やケガ、老化にもつながる!硬い股関節がもたらすデメリット
立ったり、座ったり、歩いたりは、人のごくごく基本的な動作。そんな当たり前な動きだけに、それらの動作に股関節が大きく作用していることは見落とされがちです。
しかし、股関節が硬くなってしまうと、姿勢が崩れたり、太りやすい体質になるなど、健康や美容の面で数々のデメリットをもたらしてしまいます。
今回は、股関節の硬さが、全身にもたらす影響について解説いたします。
良いことがひとつもない、硬い股関節のデメリット
股関節は、太ももや、腰、お腹など、20以上もの筋肉が複雑に作用し合うことで、さまざまな方向に動かせるようになっています。そのため、いずれかの筋肉が硬くなってしまうと、股関節の柔軟性は保ちにくくなっていきます。
また、加齢によって、筋肉や血管は固まりやすくなり、関節軟骨も再生しづらくなって、股関節がスムーズに動かせなくなることもあります。
股関節が硬直化すると、骨盤から背骨、あるいは膝や足首の関節にまで影響して、身体全体のバランスを崩してしまうという結果を招いてしまいます。
人の身体全体に深く関連している股関節の重要性を知っていただくため、股関節が硬いことから起こりえる弊害をピックアップしてみました。
①脚がむくみやすくなる。冷え性になりやすい。
股関節部分には動脈・静脈の太い血管があり、上半身と下半身の血液の循環に深くか関わっています。そのため、股関節まわりの筋肉が硬いと血流も悪くなり、脚がむくみやすく、冷え性にもなりやすくなります。
②太りやすく、痩せにくい体質になる。
股関節まわりの筋肉は、骨盤が支えている胃や腸などの消化器系の器官と接しており、消化や代謝の機能にも影響します。そうしたことから、股関節の硬さが、太りやすく、痩せにくい体質の要因にもなりえます。
③姿勢が悪くなる。
股関節の硬さは、骨盤の歪みに直結し、姿勢の悪さにつながります。いわゆる猫背など、背骨(脊柱)が曲がってしまう原因にもなり、肩や首の関節や筋肉にも影響します。
④疲れやすい。ケガをしやすい。
股関節が硬くなって身体がアンバランスになってしまうと、人の身体は他の関節を使ってバランスを取ろうとします。そのため、無駄にエネルギーを消費してしまい、疲れが取れにくくなります。またアンバランスな姿勢によってケガも発生しやすくなってしまいます。
⑤腰痛になりやすい。
股関節を動かす筋肉のひとつの大腰筋は背骨の肋骨の下部分から骨盤を通過して、太ももの付け根につながっています。この筋肉が硬化すると、腰痛が起きやすく、ぎっくり腰などのケガにもつながります。
⑥年齢より老けて見える。
股関節の動きが制限されると、身体全体の動きもぎくしゃくしてしまい、動作から若々しさが失われてしまいます。実際、代謝などの機能も低下してしまうので、老化しやすいともいえます。
⑦ストレスが溜まりやすくなる。
股関節の硬さから来る身体的な不調からイライラしやすくなり、運動などでのストレス発散も難しくなります。また、精神的なストレスは筋肉の緊張にもつながるため、悪循環を引き起こすことがあります。
このように、股関節が固まってしまうと、身体的な問題だけでなく精神面にまで悪い影響を及ぼします。しかし、裏を返せば、股関節の柔軟性を維持して正しい姿勢を保つようにすれば、健康面はもちろんのこと、ダイエットやアンチエイジング、さらには精神面にまで良い結果が得られるということでもあります。
股関節の硬さが気になる方は、どのように健康や生活に影響するかを知って、日々の暮らしの改善に役立ててください。
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股関節の硬さをほぐす第一歩は、正しい姿勢で歩くことから。
体型や日頃の生活習慣などにも影響を受けるため、人の“姿勢”は実に様々。ふつうに歩く時のクセも、人それぞれで十人十色といえます。しかし、その姿勢が、股関節を硬直化させてしまう最も大きな原因にもなります。
ここでは、ふつうに歩くときに気をつけておきたいチェックポイントをピックアップします。
顔を上げて、前を見る。
背筋と腹筋のバランスを意識して、地面から真っ直ぐ立っているような姿勢を心掛けましょう。目線は、まっすぐ進行方向の少し遠く見るように。目線が下に行くと、背中が丸まり、足運びも悪くなります。習慣づけるには時間がかかるかも知れませんが、日頃の心がけで自然と良い姿勢が身に付くでしょう。
「かかとで着地」「親指でけり上げ」を意識する。
前へ踏み出す足は、つま先を上げることを意識することが大切です。すり足にならないように、かかと→足裏→つま先の順に、足のすべてを使ってバランスよく重心移動するように心掛けましょう。
お腹を出さず、腰から歩くつもりで。
ふだん猫背ぎみの方は、ほとんどが骨盤が後ろに傾いています。また、お腹を前に出しすぎると骨盤は前傾(反り腰)になってしまいます。まっすぐに立てた骨盤をそのまま前に移動するイメージで歩くようにしましょう。
歩幅を大きくしすぎない。
股関節の動きを意識し過ぎて、歩幅を広くすると、着地の際の地面反力が強くなってしまい、股関節や腰への負担も大きくなります。良い姿勢が身に付けば自然と歩幅も変わります。まずは姿勢よく歩くことだけを意識しましょう。
歩く時の姿は、自分ではなかなか見ることができません。まずは室内の姿見などで立っている時の姿勢を確認し、外出時にはお店のウィンドーなどでチェックするようにしてみましょう。
また、家族や友人などから客観的な意見をもらうことも、姿勢を矯正するのにとても役立ちます。機会があれば、専門家から確かなアドバイスを受けることもおすすめします。
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